デプスフィルターのスラッジ除去とは
この記事では、スラッジ除去におけるデプスフィルターの役割に焦点を当て、その仕組みやメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。デプスフィルターがどのようなフィルターなのか、どのような場面に適しているのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
デプスフィルターによるスラッジ除去の仕組み
デプスフィルターは、日本語で「深層ろ過フィルター」とも呼ばれます。その名の通り、フィルターの「深層」、つまりフィルターメディア(ろ材)の内部全体を使ってスラッジを捕捉する仕組みを持っています。
具体的には、液体が繊維などが複雑に絡み合ったフィルター内部を通過する際に、スラッジ粒子がフィルターの繊維に衝突したり、付着したりすることで捕捉されます。まるで、液体がスポンジや綿の中を通り抜ける際に、中のゴミが引っかかるようなイメージです。
これに対し、フィルターの表面にある決まった大きさの穴で粒子を引っ掛けるタイプは「サーフェスフィルター(表面ろ過フィルター)」と呼ばれます。デプスフィルターは、フィルターの厚み全体を利用するため、比較的多くのスラッジを内部に保持できるのが特徴です。代表的なデプスフィルターには、糸巻きタイプや多孔質タイプなどがあります。
デプスフィルターのメリット・デメリット
メリット
- 高いダスト保持容量: フィルター内部全体でスラッジを捕捉するため、一度に多くのスラッジを保持できます。これにより、フィルターの交換頻度を抑えられる可能性があります。
- ゲル状・不定形スラッジへの対応力: 表面ろ過では目詰まりしやすいような、柔らかいゲル状のスラッジや、粒子サイズが不均一なスラッジに対しても、内部で捕捉するため有効な場合があります。
- 比較的安価な場合が多い: 一般的に、構造がシンプルなものが多く、フィルター自体の初期コストが安価な傾向にあります。
デメリット
- ろ過精度がシャープでない場合がある: 表面ろ過のように「特定のサイズ以上を確実にカットする」という精度は、タイプによってはやや劣る場合があります。求める清浄度によっては注意が必要です。
- 基本的には使い捨て: フィルター内部にスラッジが溜まって目詰まりを起こすと、基本的にはフィルターごと交換する必要があります。洗浄して再利用することは困難な場合が多いです。
- 圧力損失の上昇: スラッジが内部に溜まるにつれて、液体の通り道が狭くなり、圧力損失(フィルターを通過する際の圧力低下)が徐々に大きくなります。
- 目詰まり状態が把握しにくい: フィルター内部で捕捉するため、外から見てどの程度目詰まりしているかを判断するのが難しい場合があります。(圧力計などで管理する必要があります)
まとめ
デプスフィルターは、フィルター内部全体でスラッジを捕捉する「深層ろ過」方式を採用したフィルターです。多くのスラッジを保持できる能力(ダスト保持容量)が高く、ゲル状のスラッジなどにも対応できる可能性があるというメリットがあります。
一方で、ろ過精度や、目詰まり後の交換が必要になる点などはデメリットとなり得ます。
スラッジ除去の方法を選定する際には、除去したいスラッジの種類や量、求める液体の清浄度、運用コストなどを総合的に考慮する必要があります。デプスフィルターの特徴を理解し、自社の状況や目的に合っているかどうかをご検討ください。
ウェッジワイヤー
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ウェッジワイヤースクリーンは、V字型の金属ワイヤーでできている目詰まりしにくいフィルターです。
流体の中に含まれる微細な異物を効率よく除去でき、洗浄しやすく耐久性も高いといった特徴があります。
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