ディスクフィルターによるスラッジ除去とは
この記事では、スラッジ除去におけるディスクフィルターの仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。ディスクフィルターがどのようなフィルターなのか、導入を検討する際の参考にしてください。
ディスクフィルターによるスラッジ除去の仕組み
ディスクフィルターは、溝が精密に刻まれた多数の円盤(ディスク)を積み重ねた構造をしています。液体をろ過する際には、これらのディスクが特定の圧力で密着し、ディスクとディスクの間に形成される微細な溝(流路)でスラッジ粒子を捕捉します。液体はこの溝を通過しますが、設定された溝のサイズより大きなスラッジ粒子はディスク表面や溝内部に引っかかる仕組みです。
ディスクフィルターの最大の特徴とも言えるのが、逆洗浄(バックウォッシュ)機能です。フィルター内部の差圧(入口と出口の圧力差)が一定値に達したり、タイマー設定時間が経過したりすると、自動的に逆洗浄工程に入ります。逆洗浄時には、ディスクにかかる圧力が解放されてディスク同士の隙間が広がり、ろ過時とは逆方向に洗浄水(またはろ過液の一部)を流すことで、捕捉したスラッジを洗い流し、フィルター外部へ排出します。
この自動逆洗浄機能により、フィルターメディアの交換や手作業での洗浄の手間を大幅に削減し、連続的なろ過運転が可能になります。
ディスクフィルターのメリット・デメリット
メリット
- 自動洗浄による省力化・連続運転: 最大のメリットは自動逆洗浄機能です。これにより、フィルターの目詰まりによる停止や、人手による洗浄・交換作業が不要となり、大幅な省力化と安定した連続運転が実現します。
- フィルターメディア交換不要: 逆洗浄によってフィルター機能が再生されるため、カートリッジフィルターのように定期的なフィルターメディアの交換が必要ありません。これにより、消耗品コストや廃棄物処理の手間を削減できます。
- 安定したろ過性能: 物理的な溝構造でろ過するため、圧力変動などがあっても比較的安定したろ過精度を維持しやすいです。
- 省スペース性: 構造によっては、処理流量に対して比較的コンパクトな設置面積で済む場合があります。
デメリット
- 初期導入コスト: 自動洗浄機構などを含むため、カートリッジフィルターやバッグフィルターと比較して、初期導入コストが高くなる傾向があります。
- 逆洗浄用の液体と排出設備が必要: 逆洗浄を行うためには、洗浄用の液体(通常はろ過後の清浄な液体や別途用意した水)と、洗い流したスラッジを含む排水を処理する設備が必要です。
- 超微粒子や高粘度スラッジへの限界: 非常に微細な粒子(サブミクロンオーダーなど)の除去や、粘性が非常に高いスラッジに対しては、除去効率が低下したり、逆洗が困難になったりする場合があります。
- 構造の複雑さ: 自動洗浄機構など、構造が比較的複雑なため、万が一の故障時には専門的なメンテナンスが必要となる場合があります。
まとめ
ディスクフィルターは、溝付きディスクを積層し、その隙間でスラッジを捕捉するユニークな構造を持つフィルターです。自動逆洗浄機能による省力化と連続運転が最大の強みであり、フィルターメディアの交換が不要な点も大きなメリットです。
特に、ある程度の流量があり、連続的な運転が必要で、フィルター交換の手間やコストを削減したい場合に有力な選択肢となります。
一方で、初期コストや逆洗設備の必要性といった側面も存在します。除去したいスラッジの特性、必要な処理能力、設置環境、予算などを総合的に評価し、ディスクフィルターが最適なソリューションであるか検討することが重要です。
ウェッジワイヤー
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ウェッジワイヤースクリーンは、V字型の金属ワイヤーでできている目詰まりしにくいフィルターです。
流体の中に含まれる微細な異物を効率よく除去でき、洗浄しやすく耐久性も高いといった特徴があります。
ここでは、特に「SS(浮遊物質)」や「砂利・砕石」除去に特化したフィルターを手がけるメーカー2社をご紹介します。